【中国】中国通貨の下落は、世界中の不動産マーケットに利益をもたらす―JLL

Declining Chinese Currency Benefitting Global Property Markets, Says JLL

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中国通貨の下落は、世界中の不動産マーケットに利益をもたらす―JLL

中国が人民元の為替レートの柔軟性を高めた結果、対米ドルで1.9%価値が下がるという結果をもたらし、世界を驚かせてから1年になります。

各国の経済活動に大きな懸念をもたらしたにも関わらず、JLLによると、この動きは全世界の不動産業界にとっては明らかに利益をもたらしていると言います。中国本土の投資家に海外不動産や中国の保険、他の金融機関等に対する関心をかきたて、現金を持つ代わりに資産として不動産を持つようになったからです。

去年の人民元の大改革以降、中国本土の投資家たちは不動産価格が米ドルに連動する、香港や、遠く離れたアメリカの両国での不動産の取得を加速させてきました。

この9カ月で、香港のディベロッパーであるWheelockは香港の九龍(Kowloon)にあるOne Harbourgateという複合ビルの西側を11月に 香港ドル5.86ビリオンで中国大手の生命保険会社に、そして東側のビルは深センの大富豪、Chen Hongtian'率いるCheung Kei Holdingsに香港ドル4.5ビリオンで売却し、この複合ビルを中国本土の投資家に売り切ることに成功しました。

“昨年、中国の企業はRMB 28ビリオン以上の資金を香港の不動産に投資しました。”

JLL中国 キャピタルマーケッツチームの一員であるOscar Chan氏は言います。

“この香港不動産に対する渇望は、多くの中国企業の国際的な存在感を示しているだけではなく、保有不動産の価値を様々な通貨で評価するという認識の高まりも示しています“

ニューヨークでも又、中国の投資家をターゲットとしてきました。ソブリン・ウェルス・ファンドのCICが5月にマンハッタンのニューヨークプラザに700ミリオン投資し、中国の生命保険はアメリカのディベロッパーRXRと提携し、ニューヨークのオフィスタワーを1.65ビリオンで同じ月に購入しました。

“中国の投資家も国境を越える取引をたくさん経験しており、中国の機関投資家は今や世界の不動産マーケットの中でも最も大きな取引の一部となっている”

とJLLキャプタルグループオブチャイナのDarren Xia氏は言います。

“外貨建ての資産を買うことは、中国の投資家が彼らのポートフォリオを多様化する手助けとなります”

中国のトップ、Johnny Shaoは言います。

“海外不動産の購入だけでなく、中国の機関投資家はより多くの国内の不動産も購入しています。中国本土の主要な商業地区では不動産価格が上がり続けているからです”

ディベロッパーであるSOHO Chinaは先月、上海の浦東区にあるSOHO Century PlazaをGuohua生命保険にRMB 3.2ビリオンで売却しました。Zhuyuan 地区の物件を RMB 1.89ビリオンで購入した5年後の事でした。

JLLのデータによると、中国での保険料収入は、2010年の1.3トリリオンから、2015年でRMB 2.4トリリオンに上昇し、この5年間で約2倍になっているそうです。

一部のアナリストは、中国人民銀行が人民元を今年中に更に最大3%まで下げるかもしれないと予測しており、保険業者やその他の機関投資家たちの投資先は、膨大した軍資金への安定的な収益源として、不動産に戻ってくるだろうと言います。

SOHOのようなディベロッパーにとって、投資先を探し求めて膨大する資金は、良い兆候だと言えます。まさに北京を拠点にしたディベロッパーが、上海の賃料水準が上がっており、サービス産業部門でも投資家たちを引き付けているため、上海に所有する物件のうち、更に3物件売却したいと今週発表しましたので。

『World Global Journal』2016年9月9日

この記事は、2016年9月15日に『World Global Journal』に掲載された「Declining Chinese Currency Benefitting Global Property Markets, Says JLL」を翻訳しております。

翻訳元:
Declining Chinese Currency Benefitting Global Property Markets, Says JLL