全米住宅建設業者協会(NAHB)、2017年は住宅生産が徐々に上昇すると予想
NAHB Panel Says U.S. Housing Production Will Gradually Uptick in 2017
米国住宅マーケットのエコノミスト達が、2017年1月にフロリダのオーランドで開催されたNAHBの住宅建設ショーで語った事によると、経済成長によりアメリカの住宅生産は2017年、徐々に上向きの軌道に乗るだろうと言います。
需要に対する積極的な開発が2017年の戸建住宅部門の底堅い成長を支えていく一方、建築業者たちは、3つの制約…「敷地、雇用、そしてローン」に直面し続けていると、NAHBのチーフエコノミストのRobert Dietz氏は言います。
同氏は、全国の建設業者のうち64%は"低水準"か"非常に低水準"の供給実績を報告しており、建設セクターでの未充足雇用率は今やビルブームよりも高くなっていると述べ、建設業者向けの買収、開発、それから建設ローンは、需要を満たすために、成長を加速させる必要があると考えています。
"この産業はより多くの人材を採用し、パイプライン上により多くの土地を獲得する必要があるが、それには時間もかかるだろう。"
と同氏は言います。
しかし、これらの供給側の挑戦は、継続した経済成長、進行中の雇用創出、賃金上昇、そして好ましい人口統計学によって相殺されるどころではありません。
さらに、後任のトランプ政権が今後の調整コストの削減に役立つことを期待して、建築業者の自信は高まっています。
"規制の必要条件は、新築物件の約25%を占めている。こうした制約を受けて、200,000ドルのエントリーレベルの住宅を建設することも難しくなっている。"
と同氏は言います。
しかし、より多くのミレニアル世代の人々が市場を離れたり、市場に飛び込んだりしているという兆候において、タウンホームの建築は、ミレニアル世代が住宅所有者へとなるための役立つ懸け橋となりえ、すばらしい成長を見せ、今や戸建て住戸の12%のシェアを占めています。
底堅い展望
経済成長が続いており、NAHBは住宅ローンの金利が2017年は平均4.5%、2018年には5.3%になることを予測しています。NAHBは2016年に合計116万もの住宅着工を実施しており、前年の合計である111万戸から4.9%の上昇となりました。
戸建住宅の建設は2017年には10%上昇の885,000戸になり、来年には更に12%上昇の961,000戸になると予測されています。
戸建住宅建設が年間平均130万戸であった2000年~2003年の期間を通常のベンチマークとして、戸建住居の着工は2016年第3四半期の典型的なマーケットである56%から、2018年第4四半期までに通常の75%と堅調に上昇していくと予測されています。
集合住宅に関して、NAHBは2017年には、前年比で1,000戸上回る384,000戸の安定した着工を見込んでいます。この水準は、トレンドをわずかに上回るものの、Dietz氏はこのペースは人口統計と需要と供給のバランスにより持続可能であると指摘しています。一方で、住居のリノベーション活動は2016年を通して1%の増加と見込まれています。
値ごろ感と人口統計
CoreLogic社のチーフエコノミストであるFrank Nothaft氏もまた、今年は住宅ローン金利が上昇し、住宅価格が緩和されるだろうと予測しています。
"私たちは強い経済成長が高い住宅ローンの利率に転嫁されると予想しています。"
と同氏は語ります。
"住宅ローンの利率は去年の夏以降、4分の3上昇し、住宅価格も上昇しています。そしてそれが家計の予算を締め付けています。
反対に、人口統計は今後の住宅販売や住宅販売にとって非常にプラスになるでしょう。ミレニアル世代が25歳から30歳になるにつれて、住宅購入マーケットを拡大する大きな可能性となりますので"
同氏は、住宅購入組織は2017年5.7%上昇するはずで、住宅ローンへのクレジットリスクは10~15年前よりも断然低くなると付け加えました。
2017年の最も大きな住宅の課題は、値ごろ感だと、同氏は言います。
"規制の必要条件は、新築物件の約25%を占めている。こうした制約を受けて、200,000ドルのエントリーレベルの住宅を建設することも難しくなっている。"
と同氏は言います。
供給と需要
Nationwide Mutual Insurance 社でチーフエコノミストであるDavid Berson氏もまた、来年あたりの住宅ローン金利の上昇を予測しています。しかし、同氏は、これが住宅需要にマイナス影響を与えるわけではないと言います。
"高い住宅ローンの利率は賃金の上昇と雇用拡大により相殺され、そのため住宅の需要は今年上昇するだろう。"
"問題は、供給がどれくらい上がるのか?"
同氏は、全米の大都市圏は比較的堅調であり、堅調な雇用の伸び、住宅ローンの延滞率が通常水準に近くまで低下しており、住宅価格の上昇は堅調だが過度ではないと強調します。
同氏によると、2017年の主な懸念は需要が供給を超過し、住宅価格の上昇に圧力をかけることだと言います。
"もしマーケットに出ている住宅が十分でなければ、問題になるだろう。価格上昇は緩和される必要があり、我々は6%,7%,8%と言った利益を得ることはできません。これでは持続不可能です。"
そして同氏は、
"このような状況が多くのマーケットは、「健全」から「中立」に引き下げる可能性がある。"
と、付け加えました。
この記事は、2017年1月11日に『World Property Journal』に掲載された「NAHB Panel Says U.S. Housing Production Will Gradually Uptick in 2017」を翻訳しております。