ロンドンの一等地の地価、過去5年で最大の値下がり

Prime London Land Values Fall Most in Five Years on Tax Rise

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ロンドン中心部の一等地では今年の9月、地価が10.3%の下落と、ここ5年で最も大きく値下げとなり、増税とEU離脱の選挙が高級住宅価格の下落を引き起こしたと見られています。

銀行は、価格の低下をあおり、ますます土地取引や建設への融資に前向きではなくなっていると、ブローカーであるKnight Frank社は11月9日に公表した報告書で述べています。また同社は、ディベロッパーたちは住宅価格の更なる落下に対する備えとして、利益率を上げる必要があるため、土地投資への興味も無くしてきていると言います。

"現在のレベルでの政治的な不透明感から、住宅建設業者に増加したリスクがのしかかり、彼らはより大きな収益を探し求めなければならなくなりました"

と、Knight Frank 社の住宅部門共同責任者であるJustin Gaze氏はEメールで述べました。

"ただ、ロンドンの中心部以外の地域では、新築住宅の需要は高くなっています。"

ロンドン中心部の未竣工物件の売れ残り件数は今年、過去最多となり、ディベロッパーの高級住宅の需要増加に対する賭け判断はうまくいかないだろうというリスクが高まっています。イギリスの首都圏の一等地で大規模なプロジェクトの開発を行うディベロッパーの株式は、EU離脱の選挙以降、競合企業に遅れをとっていると言います。というのも、競合企業たちは住宅価格が下落した場合の保有株の評価損をあらかじめ想定しておりました。

Capital & Counties Properties社は7月、アールズ・コート地区にあるその保有土地の評価を14%低く評価し、今年更に10%下がるかもしれないと、James Carswell氏を含むPeel Hunt社のアナリストたちは、顧客への報告書で言及しました。St Modwen Properties社は、ロンドンのNine Elms地区の物件の経済価値が、住宅価格が約4%下落という予測が出た後、17%落ちたと言います。

アイルランドのIreland’s National Asset Management Agency(通称:NAMA)は、現在の管理下での開発が行き詰まってしまった後、管財人としてロンドンのセントジョーンズウッド地区に豪華な不動産を所有している会社を任命しました。この不動産は、かつてジョーンズ・ラング・ラサール社を通して売りに出されていたものですが、その管財人は今、その用地の処理の新しい戦略を考えています。

Savills社によれば、ロンドン一等地の地価は、中国やマレーシアからのディベロッパー達による高級住宅マーケットは依然強いままであるという賭けのため、2012年から急騰し始めました。代わりに、増税と価格高騰による需要の弱まりにより、住宅価格は2014年をピークに今日まで11%下回っています。

イギリス・ロンドンの住宅価格は、EU離脱の選挙結果のために、企業はスタッフを海外に移動させ、イギリスの経済は鈍化し、30%くらいは下がるかもしれないと、フランスメガバンクソシエテ・ジェネラルのMarc Mozzi氏は7月のレポートの中で述べました。Molior London社によって出されたデータによると、ロンドンの一等地で、売れ残っている未竣工物件の数は今年約11,000戸にまで到達しました。

ロンドンの最高級物件は、今日のマーケット状況のため、依然"挑戦的"なものであると、ディベロッパーであるBarratt社は11月9日に発表した損益計算書の中で述べています。

この記事は、2016年11月16日に『Bloomberg』に掲載された「Prime London Land Values Fall Most in Five Years on Tax Rise」を翻訳しております。

翻訳元:
Prime London Land Values Fall Most in Five Years on Tax Rise