第9回マレーシア編~最近の海外不動産投資事情~海外不動産マーケットの今を考える!

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第9回~最近の海外不動産投資事情マレーシア編~海外不動産マーケットの今を考える!

皆さん、こんにちは。サラリーマンと不動産投資家の両立を目指す早杉富士夫です。

第7回〜第11回は、この1年間で視察した海外不動産マーケットの状況について私の感想を国ごとにお話したいと思います。第9回は、マレーシア編です。

マレーシア不動産投資の今

マレーシアの不動産投資市場は、2015年に突然実施された消費税6%導入と外国人不動産投資規制の強化に加え、政治の混乱、原油・商品価格の下落、米国の利上げ、新築コンドミニアムの大量供給などの要因も重なり、首都クアラルンプールの不動産市況は低迷を余儀なくされ、売買価格や賃料の下落が進み、底打ち感が出ていない印象です。

私が購入したブキットビンタン近くの新築コンドミニアムは、完成後2年間のデベロッパーによる賃料保証・管理費免除期間が終了し、2016年5月にエージェントを通じ、現テナントと契約更新の交渉を行いました。テナントが入っていないユニットが多い中で、私の部屋は運よく完成後すぐに大手企業の社員が入居し、テナントからも継続利用したいとの希望が出されたため、エージェントと相談のうえ、現在のリーシング環境に鑑みれば、賃料の引き上げよりもテナント確保が重要と判断し、原契約のまま賃料更新することで同意しました。

結果として、これまでのデベロッパー保証に比べて大幅な賃料ダウンとなり、ローン返済を差し引くと、手許に残るキャッシュフローはマイナスになってしまいました。さらに取得から2年経って忘れた頃に所有権登記の印紙税の請求もあり、ダブルパンチで資金繰りが悪化しました。

幸い、マレーシアリンギットが歴史的安値の水準に下がっていたので、日本での円預金を当座のローン返済資金に充当することができましたが、マレーシアのキャッシュフロー改善のために、これほど追加資金が必要になるとは考えてもいませんでした。

  • マレーシアリンギット/円レートの推移
    マレーシアリンギット/円レートの推移

2016年7月、ジョホールバルのプテリハーバー前に2013年10月に購入した新築コンドミニアムの建設状況を視察しましたが、まだ人もまばらな開発エリアにあちこちで新築コンドミニアムの建設が進んでいるのを目の当たりにすると、高い賃料どころかテナントの確保さえも厳しいと考えざるを得ません。

ジョホールバルのイスカンダル地区は将来性が期待できるものの、セカンドリンクの沖合に中国系企業が「フォレストシティ」という巨大な埋立地を開発する(完成まで30年を要する)など、大規模な不動産開発が同時並行で進んでいますので、供給過剰の状態が続くことは必至かと思います。

  • マレーシア・ジョホールバルのフォレストシティの完成模型
    マレーシア・ジョホールバルのフォレストシティの完成模型

いずれマレーシアの不動産投資規制が緩和され、経済も持ち直してくることを期待しつつも、新興国の不動産投資リスクをもう少し慎重に検討すべきだったと正直後悔しています。長期投資を前提に投資したにも拘わらず、いざ資金繰り問題に直面してはじめて、現地でのローン借入に安易に頼ってキャピタルゲインを狙っていた自身の投資手法に問題があったといえます。

なお、マレーシアの所得税は、建物の減価償却制度がなく、また費用計上できる経費の範囲もかなり限定され、非居住者に対して一律26%の税率が適用されますので、日本に比べ多額の税金を納めることになります。外税控除が利用できる方は日本での確定申告で税金還付できますが、利用できない方は注意が必要です。

次回フィリピンの不動産投資についてお話したいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。