第5回 マレーシア新築コンドミニアム購入・前編

Know-how for the salaried worker

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皆さん、こんにちは。サラリーマンと不動産投資家の両立を目指す早杉富士夫です。
第5回と第6回では、新興国マレーシアでの不動産投資の体験談をお話したいと思います。
マレーシアは、毎年ロングステイ人気No.1の国で、親日的で日本人が住みやすい印象がありますが、私が初めてクアラルンプールを訪れた20年前は、早朝からコーランの音楽が大音響で流れ、喧噪とした雰囲気があり、交通事情も非常に悪いイメージがありました。
二度目は、リゾート地のランカウイ島に向かう途中に立ち寄った6年前になりますが、競馬場の跡地にはペトロナスツインタワーがそびえ、それを囲むように高層ビルが林立する大都市に変貌を遂げていました。
マレーシアの人口は約3,000万人。マレー系(67%)、中華系(25%)、インド系(7%)で構成される多民族国家であります。経済は華僑系が強く、マレー人を保護・優遇するためのプミプトラ政策を巡って民族間の対立がニュースになったりしています。

最初のクアラルンプールでの不動産視察

2011年3月の東日本大震災以降、日本の天災や財政破綻等何かあった場合に備え、海外に資産を持つこと、いざとなれば海外に移住できる環境を用意しておく必要を強く感じていましたが、当時移住したい国の上位にランクされていたマレーシアが10年の長期滞在ビザ(Malaysia My 2nd Home program)を提供していたこと、また親しい友人や私のメンターが既にクアラルンプールにコンドミニアムを購入していたことからいろいろな情報を得ることができ、興味を持っていました。
その友人とメンターから誘われて2011年9月にクアラルンプールを訪問し、友人のコンタクトをとった現地の不動産業者の案内で、日本人駐在員や長期滞在者の比較的多い中古のコンドミニアムを視察しました。

クアラルンプールの中心部からすぐ近くの閑静な住宅街の中にあり、大きなショッピングモールや日本人会の施設もあって日本人には暮らしやすい場所と思いました。
一方で、建物自体は外観こそ綺麗な印象でしたが、築数年から20年近く経っている物件もあって全体的にやや古く、室内は玄関がなくいきなりキッチンとかリビングににあって内装も日本に比べると質が落ちるのは明らかでした。

この時に視察した築18年の中古コンドミニアムを例にとると、売却希望価格は638,000リンギット(1リンギット=27円)、単価500リンギット/SQF(SQF=0.0929㎡)、家賃は月2,500リンギット、表面利回り4.7%、管理費は月340リンギットで日本に比べると投資利回りは低い水準です。
初めての視察で相場観が十分にわからなかったこともあり、結局物件購入を見送りました。

将来のために、HSBCに預金口座を開設し、ローンオフィサーの方にローンの条件を確認しました。借入期間については70歳までに完済すること、金利は4.2%変動、購入価格の85%まで融資可能とのことでした。
日本や米国に比べると、返済条件が厳しく、運用利回りもそれほど高くないので、毎月のキャッシュフローをプラスにするためには、少なくとも50%程度は自己資金を用意する必要があります。
新興国の場合はインカムゲイン期待よりも将来のキャピタルゲインが得られる可能性が高い割安な物件を如何に見つけるかが何より重要です。

二度目のクアラルンプールでの不動産視察

私は、この後、2012年5月にも再度クアラルンプールを訪問し、日系の不動産仲介会社の視察ツアーに参加しました。
ペトロナスタワーのあるKLCC周辺、繁華街のブキットビンタン周辺、大使館が集中するアンパン地区、日本人が多く住むモントキアラ・ダマンサラ地区などにある建設中の新築コンドミニアムを数か所視察しました。
販売単価は、1,000RM/SQF以上で以前の中古コンドミニアムに比べるとどれも高く、割安感は感じませんでした。
また、これから着工する物件も多く、モデルルームだけでは正直仕上げや内装のグレードに問題ないか心配なところがありました。

翌日、今度は私のメンターの紹介である中華系の現地不動産仲介会社にも案内を依頼し、モントキアラ地区を中心に視察しました。
モントキアラはクアラルンプール中心部から車で日中であれば20分くらいのところに位置します。
インターナショナルスクールや日本人学校もあり、ショッピングセンターや多くの飲食店も営業していることから、日本人のみならず外国人家族が多く住んでいるよく整備された町といえます。

ここでは、既に完成・入居済やほぼ完成している物件を中心に視察しました。テナントが入っている物件でも、時間をあらかじめ決めて、家族がいる中で各部屋を見て回るため、日本とは違ってやや緊張した面持ちで視察しました。
やはり、実際に出来上がっている物件は安心感がありますし、テナントが入っていれば、引き渡し時の仕上げチェックや家具の用意とかテナント探しなど煩わしい手続きが不要なため、追加経費がかからないうえ家賃がすぐに入ってくる利点が大きいと思います。

いくつか視察した中で、既にテナントがついている86㎡ほどの1ベッドルームの部屋を購入候補として交渉することにしました。
希望価格を少し下げた800RM/SQFをターゲットに仲介会社を通じて打診しましたが、結果として交渉がまとまらず、私自身も賃料利回りが5.1%、70歳までの返済期間を考慮すると毎月のキャッシュフローの手残りがほとんどないこともあって迷いもあり最終的に見送ることにしました。

  • ペトロナスタワーとKLCC周辺

三度目のクアラルンプール、そして購入を決定

この時点では、まだ海外で不動産を所有したこともなく、ましてや新興国で法規制や税務も異なることから自身で最終決断ができませんでした。
結局マレーシアで不動産を購入できたのは、ハワイのホテルコンドミニアムを購入し経験や知識を得て自信がついた1年後の2013年1月になりました。
2013年年末年始の休暇を利用して、今度は家族と一緒にクアラルンプールを訪問しました。

この時は私のメンターが既に購入していた物件でお勧めのキャンセル物件があると紹介され、あらかじめ価格や間取り(3ベッドルーム)などの情報をいただいたので、この物件をターゲットに実物をみて判断しようと決めていました。
このコンドミニアムはクアラルンプール最大の繁華街であるブキットビンタンに近く、正面にKLタワーやペトロナスタワーが見える40階建てのコンドミニアムで外観はほぼ完成しており、内装の仕上げに入っている状況で、大きなプールなど共用施設も充実していました。

外国人駐在員向けの住居になりますが、クアラルンプールの六本木地区と言われレストランやバーの多い場所に近いので、ある程度テナント需要はあると感じました。
条件面で、割引率の拡大、契約時の弁護士費用・印紙代無料、完成引渡しまでの借入金利息のデバロッパー負担(DIBS)、2年間管理費無料、2年間家賃保証(購入価格の6%相当)、家具付などのサービスが付くこともあり、ついに購入を決意しました。

第5回は主に視察や物件を選ぶ際のポイントについてお話させていただきました。
第6回では、実際に私がマレーシアの物件を購入する際に体験した、物件購入までの手続きとトラブルについてお話したいと考えています。
次回もよろしくお願いいたします。