第9回「投資理論と投資哲学④ ~出口戦略について~」

Exit strategy

Share Button

出口戦略の考え方

今回は、「出口戦略の考え方」についてお話ししていきます。
実需の不動産購入には出口戦略は不要です。永続的に保有するわけですから、値上がりしようと値下がりしようと、経済的利益に大きな変動はありません。
これに対して、投資用不動産においては出口戦略が極めて重要になります。

高額物件の購入を勧めている不動産業者は、顧客の利益を第一優先としていないと言えます。
一般に不動産業者の手数料は、物件の売買代金に手数料率(3%程度の場合は多い)を乗じて計算されます。
不動産業者の手間は、2,000万円の不動産販売でも1億円の不動産販売でも大きくは異なりません。
2,000万円の物件の販売手数料は60万円ですが、1億円の物件であれば300万円となりますので、顧客の利益より自らの利益を優先して高額物件を勧める業者もあります。
しかしながら、投資の出口戦略を考慮に入れるならば、高額物件の購入は流動性リスクを高めるだけでなく、投資の目的を達成できなくなる恐れがあります。

マレーシアの不動産を例にして説明しましょう。
大都市の一等地の不動産をローカルの人たちが購入するのが難しいのは、世界中、どこの国でも同じ状況です。
クアラルンプールでも例外ではなく、ツインタワーの周辺の不動産価格は日本円に換算すると数億円にまで上昇しており、ローカルの人たちには高嶺の花といった感じです。
ローカルの間で頻繁に売買されているクアラルンプールの不動産価格は、30万リンギットから60万リンギット程度、日本円に換算して1,000万円から2,000万円が主流です。
最近は、ローカルの人たちの生活水準も上がってきていますので、日本円で3,000万円程度の物件にもローカルの手が届くようになってきています。
従いまして、これを超える金額の購入者の多くは外国人であり、実需ではなく投資目的の購入者の比率も増えています。