第11回「投資のリターン② ~不動産投資と株式投資~」

Real estate investment and equity investment

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不動産投資と株式投資

同じ投資とは言っても不動産投資と株式投資はかなり異なります。

株式投資であれば、「半年で1.5倍になった」とか「1年で2倍になった」などと言う話を耳にすることがあります。
これくらい値が上がった株式は実際に存在します。
しかしながら、不動産が半年や1年で2倍になることはまずありません。
以前、すでにリスクとリターンが表裏であることは説明いたしましたので、お気づきかもしれませんが、一般的には株式投資の方が不動産投資に比べてリスクが高いと評価できます。
株式は、発行している会社が倒産すれば、一瞬にして価値がゼロになることがありますし、今までに一流大企業であっても倒産した例は珍しくありません。

また、上場株式であれば「現金にしたい」と思った時に、利益が出るか損失がでるかは別にして、マーケットで売却すれば換金は容易です。
これに対して、不動産は「現金にしたい」と思って売りに出しても、上場株式のようにすぐには現金にはなりません。
これを流動性リスクと言っています。
不動産は流動性リスクが高いことが多く、海外でも国内でも売りに出してから、買い手が着くまでに3カ月から6カ月くらいを要するのが一般的です。
買い手が付くのに1年以上かかる場合もありますし、価格設定を誤るといつまでたっても売却できないこともあります。
流動性リスクは、すぐに換金できないことを意味しますが、換金できない間に状況が変わるリスク、例えば、地震などの災害によって資産価値が激変するリスクも内包しています。
不動産投資のリスクは、流動性リスクだけに限定されませんが、流動性リスクは大きなファクターであり、このようなリスクと引き換えにリターンを得ていると評価できます。

それでは不動産を購入する際に最初から長期保有を前提にしたらどうなるでしょうか。
流動性が低いことを前提にしてしまえば、それほど高いリスクとはならないとも言えます。
もちろん、それほど単純な話ではありませんが、流動性リスクを受け入れてしまえば、不動産投資はインカム・ゲイン投資のようになります。
不動産価格の上昇を狙ったキャピタル・ゲイン投資に比べて、同じ不動産投資でもリスクの種類も違いますし、リスクのレベルも異なってくるのです。