イギリスの不動産とアメリカの不動産の違い

Difference between British real estate and American real estate

Share Button
イギリスの不動産とアメリカの不動産

海外不動産投資を検討している方には、「不動産」「先進国」といったキーワードで検索し、イギリスとアメリカの不動産で比較・検討されている方も多いのではないのでしょうか。
実際に、イギリスとアメリカの不動産では共通する部分もありますが、異なる部分も多く存在しています。
このページでは、イギリスとアメリカの不動産に関する比較をしながら、2016年現在のイギリスの物件に関するトレンドをご紹介してまいります。

まず、イギリスとアメリカの不動産の共通点についてご説明いたします。
2国の最たる共通点に、築年数によって価値が落ちにくいという点が挙げられます。一般的に、日本だと物件の価値は築年数に応じて下がります。しかしイギリスやアメリカをはじめとする欧米諸国は築年数が経過しても値段が下がりにくく、むしろ上がることが多いため、取引のメインは中古物件が占めています。また、どちらの国も不動産マーケットが成熟しており、法体系も整っているため、安心して不動産を購入することができます。万が一トラブルが発生して裁判になった場合でも、アジアの新興国などでありがちな「明らかに現地民に有利」や「外国人が勝つ見込みなし」などといったことはありません。これらの国は英語圏であるため、日本人にとって比較的情報収集がしやすいことも大きなメリットです。

イギリスの不動産をアメリカの不動産と比べた場合、大きな違いは2つあります。
1つ目の大きな違いは、家の構造です。アメリカ国内でも州や東海岸、西海岸で住宅事情は異なりますが、たとえば不動産投資が特に盛んなアメリカ西海岸、カリフォルニア州の場合、一般的な住宅は木造一戸建てを指します。日本での木造物物件の法定耐用年数は22年で、その法定耐用年数を超えた物件は無価値となってしまいますが、アメリカではこの耐用年数を超えた物件が高値で取引されています。そして、そういった物件は4年という短期間で償却を取ることができます。そのため、日本人がアメリカの不動産投資を購入する目的といえば、ダントツで節税効果を狙った購入です。

一方、イギリスの一般的な住宅と言えば石やレンガ、ブロック造のため、その分耐用年数も長く、築年数が200年、300年を超える物件も珍しくありません。そしてもちろん、イギリスの不動産の場合もその節税効果を享受することができます。イギリスで一般的な不動産といえばレンガ造りの家です。日本で申告する際、石やレンガ、ブロック造の住宅の法定耐用年数は、38年となっています。イギリスのレンガ造りの不動産のほとんどの物件はこの耐用年数を超えています。その場合は、7年で償却をすることができます。
イギリスでは、土地と建物を分けずに一つの不動産という捉え方をするため、建物の比率をどう計上するのが妥当か検討が必要となります。通常はサベイヤーレポートと呼ばれる鑑定氏による評価レポートを取得して、土地と建物を分けて評価してもらうことでそれをベースに日本で税務申告される方が多いようです。

イギリスの不動産をアメリカの不動産と比べた場合の2つ目の大きな違いは、現在の水準です。ロンドンはずっと駐在員を派遣する上で最もコストがかかる都市でしたが、8月4日のサヴィルスレポートによれば首位はNY、2位も香港となりロンドンは3位になりました。これはブレグジットで住宅賃料の高騰に歯止めがかったことと英ポンドの調整が大きく寄与しているためです。CNN Money が8月5日に発表したレポートでもロンドンの家賃水準は世界1高い都市だったものが3位となりました。1位になったNYの家賃水準は前年比+2%で続伸していますし2位になった香港は+1%と強含みが続いています。一方でロンドンの家賃水準は前年比▲11%と調整が進んでいます。

【図】1952年以降のイギリス平均住宅価格の推移

さらに、イギリスの物件の場合はキャピタルゲインを積極的に狙うことができます。
ここ数十年の間、もちろん政治や経済の状況によって短期的に上がったり下がったりしましたが、10年単位で長期的に見てみると、住宅価格は2倍、場所によっては3倍にも値上がりしています。イギリス、特にロンドンの不動産は完全に売り手市場です。ブラウン前首相は2020年までに300万戸の住宅を建てるという計画を打ち出すほど、その住宅不足は深刻で慢性化しており、人口増加が不動産の値段を更に押し上げるというこの流れは今後も続くと予想されます。
そのため、イギリスの不動産を購入する目的としては、節税と、長期保有によるキャピタルゲインの両方が狙えると言えます。

実は、以前はイギリスの不動産の非居住者が投資した場合、そのキャピタルゲインに課税がされないというメリットがありました。しかし、そのために海外からの不動産投資があまりにも盛んになり、イギリス政府は、2015年4月以降、イギリスでの投資不動産について、非居住者もキャピタルゲイン課税対象となる旨を発表しました。しかし、以前のようなキャピタルゲインによる優遇がなくても、イギリスの物件はまだまだ魅力的だといえるでしょう。

イギリスの新着不動産投資物件